せっきと読む。「炻」は国字(日本で考案された漢字)。英語の”Stoneware”の訳語である。窯を使い、焼成温度は1200~1300℃。土器と陶 器の中間的性質を示すもので、釉薬の有無にかかわらず、透光性・吸水性ともにないものを指す。ウェッジウッドの「ジャスパーウェア」、ブラックバサルト、 ロッソアンティコなどの「ストーンウェア」も炻器である。 炻器の原語である”Stoneware”は西洋陶磁の用語であり、中国、日本などの東洋陶磁の分類概念とは必ずしも一致しない。たとえ ば、”Celadon”と呼ばれる青色の焼き物は、日本・中国では青磁(青瓷)と言い、磁器に分類されるが、欧米では”Stoneware”の一種とみな される。日本の陶磁研究者や陶芸作家には「炻器」という概念を立てる者と立てない者がいる。 日本では、備前焼や常滑焼などが炻器に分類される場合がある。これらの焼き物は「焼き締め」ともいい、釉薬はかけないが焼成において自然釉がかかるものが ある。また焼成において火襷(ひだすき)、牡丹餅などの模様が偶然(ときとして作為的)に現れることがある。原料に珪酸、鉄を多く含んでいるため、赤褐色 か黒褐色をしている。軽く打つと澄んだ音がする。吸水性はほとんどない。古墳時代に朝鮮半島からもたらされた登り窯を用いて焼成する須恵器が起源。ただし 常滑、萬古焼の朱泥、紫泥は別系統で中国の宜興窯の紫砂陶器が元である。

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