一番身近なやきものってなんだと思いますか?私がそれを考えた時、真っ先に頭に浮かぶのはカップだったりします。

皆様、いつもお使いのお気に入りのカップはありますか?私にはあります。6つくらいあります。飲み物によって使い分けています。というと、なんかこだわりの人みたいに響きますが、そんな崇高な理由なんてありゃしません。カップや小皿など、価格が手ごろなものだと、気に入るたびに買えてしまうからです。

裕福なわけでもなんでもない故罪悪感を感じるので一応心の中で、言い訳しながら買います。私の中で、黒い私が「いいじゃんかよ、欲しいんだろう?買っちまえよ、誰も困らないじゃねえか。自分だけでなく作家さんもお店の人も嬉しいぞ」と言えば白い私が「駄目よ、もういくつもあるしこの間も買ったじゃない。お一人様確定なんだからちょっとは貯金しなさい」。するとまた黒い私がしゃしゃり出てきて「いいじゃねえか。日々を彩るってのは人生に必要なことだ、そうだ ろ」「慎ましく過ごしていても美しいものはたくさんあるわ!例えば、空、花、朝焼け・・・」「・・・」「・・・そんなに言うなら、」「いや、まだなにも言ってな」「そうよね、この間のは紅茶用のカップ、その他コーヒー用と日本茶・中国茶用、ココア用もあるけれど、プレスコーヒー用がないわ!し、仕方ない わね・・・買え!買うがいい!!!」

もう、白も完全に乗り気です。いや、最初から乗り気だったのかもしれません。こうしてひとつ、またひとつと、やきものが増えていくのです。

そんなわけで、用途に分けて色々なカップを使っています。

飲み物をいただく時、飲みくち、口当たり、ってとても大切だと思いませんか。

どっしりした味のもの(ココアや抹茶オレ、エスプレッソやプレスのコーヒーなど)だと厚いものの方が、あっさりしたクリアな味のもの(ストレートの 紅茶やドリップのコーヒーなど)は薄い方が美味しい気がします。これって見た目のイメージもあるんでしょうか。どっしりしたものはどっしりした器、しゅっとしたものはしゅっとした器の方が見た目に美味しい、という。見た目というのも味わうという行為にはとても重要なファクターなのは確かです。どどめ色の皿 に載った料理よりも白い皿に載った料理の方が美味しく感じるじゃないですか。どどめ色ってどんな色なのか知りませんけど。その色の存在って都市伝説なんで しょうか。皆、耳にしたことはあるものの見たことはない、そんな人面犬のような存在のどどめ色…。

いや、話が逸れましたが、実際、薄口のものは味が際立つそうで、厚口のものはマイルドになるみたいです。繊細な味を楽しむには薄口のものの方が良いようですね。

また、磁器と陶器ですが、これらは材質の違いによりやはり味が変わってくるそうです。陶器は磁器に比べると表面が滑らかでないため匂いが立ちにくく、味が丸くなるそうです。そして冷めにくい。私はココアは陶器のマグカップを使いますが、ココアを飲むときに求めているのはまさにそれです。冷めにくく、丸い 味。それにココアの甘い匂いは強めなので、薄い磁器のカップに入れるとトゥーマッチかもしれませんね。こうして考えてみると納得の厚め陶器。だけど浅煎り のドリップコーヒーなら薄い磁器のカップだし、甘みの深いプレスコーヒーなら分厚い磁器のカップ。勿論これは私の感覚なので、皆さんには皆さんのルールがあることと思います。でも誰しも想いは同じはず。

美味しいものを一番美味しい状態で口にしたい。

それはもちろん自分の欲求だけれど、震えるほど美味しければ、しみじみと身体に滋味がいきわたり、いただくものに対しての感謝も生まれるわけです。そんな美味しさを提供してくれる器への愛着も増すわけです。レッツエンジョイハッピーライフ。ね、いいことづくめ。

と、ここまで全部、買い物する自分を許すための前置きです。春になり、この週末はやきものの町、笠間、益子でも楽しい屋外イベント絶賛展開中。

白「仕方ない、買え、買うが良い・・・!」

そんなふうに、己を操って生きています。

 

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